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田中の部屋
日本の曖昧力

先週、NBC(関東ニュービジネス協議会)の新春賀詞交歓会に参加してきた。

記念講演は、拓殖大学の超人気教授かつ執筆家としても著名な、呉 善花(オ ソンファ)さん。

「日本の曖昧力~融合する文化が成果を動かす~」

という題目の講演は、とても刺激的で感動的な内容だった。

呉さんは、30年近く前、学生のときに日本に興味をもち、韓国から日本へ留学。1年目は、とにかく食べ物(特にお米)がおいしいし、安心に暮らせる居心地の良い環境だったので、すっかり日本が好きになったとのこと。

しかし、滞在期間が2年、3年と経つにつれて、日本のことが大嫌いになったそうです。

アジアからの留学生は、ほぼ皆同じ道をたどるそうで、2,3年の滞在で日本を去った人たちは、日本のことを嫌いになったまま帰国するのだそうだ。日本を批判する論文や著書を書いている人は、ほどんどがそうらしい。

これはとても残念なこと。

では、なぜ、日本を嫌いになるのかというと・・・・・・・

それは、日本人の曖昧な受け答えに原因があるようだ。

日本人の曖昧な受け答えの意味が理解できず、日本人が何を考えているかわからなくなり、自分が、日本に受け入れられてないのではと感じるようになることが、もっとも大きな理由だというのだ。

例えば、日本人に何か食べたいものは、と聞くと、 

「なんでもよいですよ。あなたが薦めるものであれば。」

なんて答える(^^)

この表現は、日本人としては、違和感がない受け答えなのだが、他国の人にとっては、理解するのにとても時間がかかる表現なのだそうだ。

日本のことがとても嫌いになった呉さんは、韓国に戻ることも考えていたそうだが、それでも、

「なぜ日本はこれだけ技術大国になったのか?」 「なぜ日本はこんなに安全な国なのか?」

を解明したいために、日本に残る決心をして、日本を知る努力をされたとのこと。

日本を知るにつれ、日本文化、”わび”や”さび”、”美”意識、そして何よりも不可解な、”曖昧な表現”についての理解が深まり、日本がとても好きになってきたとのこと。

そして、なかなか他国の方が理解できない”曖昧さ”の中に、多種多様な価値観を包含するものがあることに気づいたと言うのだ。

今や、呉さんは、日本文化の最大の理解者の一人となり、

”日本の文化こそ世界に広めるべきであるし、この文化、考え方こそ、世界中の様々な文化や考え方を包含でき、そして世界平和につながるものである” 

と、心の底から思い、そのことを著書や講演活動で、対外的に発信してこられている。

どちらかというと、”日本はとんでもない国だ”というイメージが植え付けられている母国の韓国よりは、かなり疎まれる存在になっているにもかかわらず、呉さんは、今こそ世界にとって必要なのは、日本の文化、考え方である、ということを強く訴えている。

この呉さんの奮闘は、日本にとって、そして、まだまだ日本のことを知らない私にとっても、とてもありがたい話である。

自分のことを理解するのがもっとも難しいように、日本人が日本のことを理解することは、実はとても難しいことかと思う。

そして、自分の良さは他人に指摘されて初めて気づくように、こうやって呉さんのような立場の方から、日本の良さを語ってもらうことにより、多くの大事なことに気づくことになる。

呉さんのような方は、日本にとって、とても必要でとても貴重な方だと私は改めて思った。

すっかり、呉さんのファンになってしまった私は、もっともっと呉さんの話を聞きたいと思っている。

近いうちにキャリトレで語っていただく機会を創れるかもしれない。

今後がとても楽しみだ。


呉先生と一緒に

呉先生と一緒に

投稿日時: 2011年1月25日 4:51 PM トラックバックURL

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